この記事は、東京大学音楽ゲームサークルB4UTのアドベントカレンダーに寄稿したものです。ほかの部員による記事はこちらからご覧ください。
今年2本目の寄稿になります。1本目はbeatmaniaIIDXの楽曲、灼熱Beach Side Bunnyの攻略について書きました。よろしければそちらもよろしくお願いします。
さて、みなさんは、今、VOCALOID楽曲を聴いていますか?
たぶんこの記事をご覧になっている方は大学生ぐらいが多いと思うので、時代的に最もニコニコ動画が盛り上がっていた(とわたしが勝手に思っている)2012~2014年頃(大学生ぐらいの方なら、中学生~高校生ぐらいのときでしょうか)にはよく聴いていたけど、今はあんまりかなあ…という方が多いかもしれません。
それでも、例えば2020年9月末にリリースされたプロジェクトセカイ カラフルステージ!で久しぶりに戻ってきたり(幅広い時代の曲が収録されていて老人オタク、ニンマリ)、音楽ゲームに入っているためよくわからんけどプレイしていたり、最近だとVtuberの方々が歌っていたり?(これはわたしはよく知らないので詳しく言えませんが、中の人もそれくらいの世代なんでしょうし、ボカロPが楽曲提供することも多いようです)などにより、今でも楽曲自体に触れることは多いのではないかと思います。
そんなVOCALOID楽曲ですが、時代の流れに伴って、いつの間にか、VOCALOID楽曲を聴くといえば(ニコニコ動画ではなく)YouTubeが一般的になったような気がします。
実際、2020年投稿で100万再生を超えている楽曲はYouTubeでは16曲、ニコニコ動画では4曲でした。(2020年12月8日現在・YouTubeではキーワード「VOCALOID」での検索、ニコニコ動画ではVOCALOIDカテゴリ内)2020年に大ヒットした曲、Kanaria氏のKINGはこの検索条件ではYouTubeでは引っかからなかったので、YouTubeでの100万再生以上の楽曲はさらに多いと思われます。
でも、だからといって(VOCALOIDジャンルにおける)ニコニコ動画の価値は落ちたといえるのでしょうか。
KINGが「VOCALOID」検索で引っかからなかったことからもわかるように、正直YouTubeはニコニコ動画に比べて検索に弱いです。YouTubeでは最近(ここ数年?)でタグが追加されましたが、あまり普及しておらず、大人気であるにもかかわらずタグの付いていない曲はたくさんあります。つまり、YouTubeに楽曲を投稿した際、その動画がどれだけ見られるかはチャンネル登録者に大きく依存します。裏を返せば、チャンネル登録をしていなければ、(話題沸騰の作品であったとしても)目につかない可能性がでてきます。
一方、ニコニコ動画ではVOCALOIDカテゴリで検索して再生順にすれば人気曲は必ず出てきますし、新着順にすれば新着曲にもれなくあたることができます。さらに、有志による作成で「週刊VOCAL CharacterとUTAUランキング」(sippotan氏)、「日刊トップテン!VOCALOID&something」(るかなんP氏)なども日々投稿されており、容易に新しい曲やトレンドに出会うことができます。
さらに、2020年12月には「ボカコレ」という祭典が開催されました。そこでの投稿数はそれまでの歴代記録であった2017年8月31日:初音ミク10周年の日を超えたということでした。
という事情で、特に「超有名P」ではないボカロPにとっては、充実したプラットホームであるニコニコ動画の存在は大きいと思います。現在は、ニコニコ動画とYouTubeの両方に投稿する方が増えているように思います。
つまり、新しい曲に触れてもらえやすい(プラットホームができている)のはニコニコ動画であるのに対し、実際に視聴者が多いのはYouTubeであるという噛み合わない状況が現在起こっています。
という状況なので、ニコニコ動画にはとてもいい曲なのにあまり再生されていない、埋もれてしまっている楽曲が数多くあります。そこで、ここでは、ニコニコ動画での再生数が4桁以下の動画であって(YouTubeに投稿されている場合はそちらも4桁以下・2020年12月4日現在)、自分がオススメするVOCALOID楽曲を、せっかくなので2020年の各月ごとに紹介しようと思います。曲調とかバリバリ偏ってます。2007年からほぼ毎日何曲も投稿されている状況ですから、自分が好きな曲が見つかるまで掘り続けられる訳ですからね。当然偏ります。ご了承を。
オススメ曲たち
埋め込みでそのまま動画再生できるようになって、いい時代ですね...
せっかくなので、ほんの一言だけ、ない語彙力で添えていこうと思います。
2020/01 ブルーとホワイト
ほっこり可愛らしい曲です。いきなり嗜好が出過ぎる
2020/02 Movin' Girl
引っ越しの歌。こういう雰囲気ではIAが合いますよね。好きです
2020/03 Moment
ゆったりした日常の歌。和みます
2020/04 ヒラエス
今回紹介する唯一のGUMIの曲。GUMIって切ない雰囲気とメロディに合う声にも合うんですよね
2020/05 サステナブル
どこかレトロな雰囲気がありつつオシャレ。「サステナブルに愛してみたい」というフレーズが耳に残ります
2020/06 C/wanna
可愛らしい女の子の歌。お洒落で綺麗だけど、どこか寂しい
2020/07 ステラ
気持ちいいfuture bass。願いを込めた調声と相まってとても好きです。
2020/08 全盛晩夏、カレンダーをめくる。
かつての夏、寂しさ感じるVOCAROCK。
2020/09 ストローハット
投稿者コメント曰く、なにやらダークな含みがありますが…可愛らしい曲です。
2020/10 離魂体
珍しく激しいVOCAROCK。ハスキーな感じに調声されたミクが好みです。
2020/11 金木犀は星の街へと
夜歩きながら聴きたい、しっとりしたポップの曲です。
2020/12 ナガレボシ
懐かしめの雰囲気を持ちながらの、中毒性のあるメロディが好みです。
番外編
ここでは、上で設けていた制限(今年投稿の10000再生未満の楽曲で、各月1曲)を完全に取っ払って、好きな曲を紹介します。紹介させてください。せっかくの場所なので
2013/06 そら
たぶん一番好きなんじゃないかなあ、という曲です。爽やかで、でもちょっと寂しくて。IAの声が、また合ってるんです。
2019/06 すこし歩く
シャレオツなピアノだったりオルガンだったり、キラキラしてるのに夜の歌。語りかけて来るような歌詞と合わせて、ダントツで個人的BEST OF 2019です。
2019/11 東京
新しい土地に踏み入れるときの寂しさみたいなものを、やはり上京のような機会があると感じてしまいます。爽やかながら寂しさのある夏の歌。
おわりに
いかがだったでしょうか。
日々VOCALOIDカテゴリを新着順にして片っ端から聴いていると、たくさんの自分の好みの曲に出会うことができます。こうしてどんどん、どんどん掘っていくと、たくさんの曲を聴いているので好みの曲は当然たくさん知ることができますが、それはどれだけ行っても終わらないことに気付きます。そうして、詳しくなっていくはずなのに、「ボカロのことは何もわからん」と、思うようになります。楽しいですよ。
みなさんもぜひ、おすすめの曲があれば教えてください。
最後に1曲、しっとりしたR&Bで好きな曲を挙げます。寒い夜に
2019/11 Samuine
ありがとうございました。